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漏水の調査費は組合負担でいいのでしょうか?
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漏水の調査費は組合負担でいいのでしょうか?

Q.専有部起因の漏水の調査費を管理組合負担で払うってフロントマンが。それでいいのでしょうか?

A.漏水の調査費のあり方は組合ルールとして決めましょう。管理組合負担と決めることをお薦めします

「漏水調査は管理組合負担」がお薦め

 漏水の調査費も修繕費もその原因者が支払うのが当然のルールです。

 でも、結論から言いいますと、「漏水調査費は管理組合負担」とすることがマンション運営上は適切だと思います。これは「マンションのルール」として決めないと不公平の原因となります。徹底した議論をして、そこで決めたルールを徹底していく必要があります。

「原因者が支払う」のが当然の原則

 原則論は、以下のようになります。以下は、AIに聞いてみた回答です。

Q.マンションの専有部起因の漏水。漏水の調査費と修繕費。誰の負担ですか?

A.マンションの専有部分(室内配管や設備)が原因の漏水であれば、調査費用および修繕費用は、原則としてその部屋の区分所有者(オーナー)の負担となります。
費用負担の詳細と、例外的なケースは以下の通りです。

  1. 基本的な費用負担
    修繕費用: 水道メーターより内側の給排水管、蛇口、洗濯機ホース、ユニットバスなどの設備修理は所有者が負担します。
    調査費用: 漏水の原因を作った本人が負担するのが一般的です。
    損害賠償: 下の階の天井や壁、家財に被害を与えた場合は、その賠償費用も加害者側の負担となります。
  2. 負担を軽減できる可能性があるケース
    • 個人賠償責任保険(特約): 火災保険などに付帯しているこの保険で、下の階への賠償をカバーできる場合があります。ただし、自分の部屋の配管自体の修理(修繕費)には適用されないことが多いので注意が必要です。
    • 管理組合による一括修理: マンション全体の老朽化対策として、管理組合が専有部の配管も含めて計画的に一括更新・修繕を行う規約になっている場合があります。 
  3. 注意点
    • 原因が不明な場合: 調査の結果、専有部か共用部か特定できない段階では、区分所有法に基づき「共用部の瑕疵(欠陥)」と推定され、管理組合が一次調査費用を負担することがあります。

多くのフロントマンは「保険で出します」

 ところが、多くの管理会社のフロントマンは、「漏水の調査費は管理組合の保険で支払います」って言ってすぐにあたりまえのような顔して漏水調査を依頼して、「個人のご負担は不要です」としています。いったいどっちが正しいのでしょうか?

「漏水調査費は管理組合の保険で」が一部会社でのコモンセンス

 「漏水調査は保険で出す」が私の勤めている会社では当然のようになっています。ですから、多くの新人社員は、「本来は個人負担」のあたりまえの原則を教えてもらっていません。「漏水調査費は原因者」とすると、「原因者と思われる人」の了解がないと調査に入れません。一方で漏水の被害者からはやんやの催促。フロントとしては仕事になりません。ですので、「保険で出るのだから誰も文句ないでしょ」と保険申請があたりまえになっています。

 ところが、一部の「真面目なフロントマン」「理屈を知ってしまっているフロントマン」は「専有部が原因ならば調査費も原因者が払うのがあたりまえ」と判断します。

「自分の時は私に請求が来たのに!」

 ですので、「漏水調査費は管理組合の保険で対応」には、大きな問題が内在しています。

 要は、フロントマンによって対応が違ってくる、というのが大問題です。私の会社では、あたりまえのように「漏水調査費は組合負担」と先輩が教えてくれています。ところが、この管理会社という大転職業界。私の隣もその隣も転職者。前の会社で教えられたルールがあたりまえだと思っています。大原則どおりに「原因者が支払う」というルールの会社で育った担当者の場合。担当者が変わったら漏水調査費の支払い者が違う、ということになります。

 要は、答えはどっちでもいいのです。でも、マンション内ではルールが統一されてないと、マンション内で不協和音が生じます。「2年前の私の家の漏水のときは調査費の請求があったのに、この前のお隣の漏水は請求されなかったらしい。あの時の理事長に私が睨まれていたからかしら」と住民間の確執にもなりかねません。マンション内で統一ルールを確認することが必要です。

どっちでもいいけど「管理組合負担」をお薦めします

 この問題の最大の問題は、前述のように「組合でルールを決めないと、フロントマンしだいで対応が変わってしまいますよ」という不公平の問題がマンション内で顕在化することだ思っています。だから、ルールさえどちらかでマンション内のコモンセンスとして確立できたら問題ないと思っています。

 ただ、どちらがお薦めと言われれば、以下の理由で「漏水調査費は管理組合負担」をお薦めします。

①調査に入れない

 「原因者が調査費も支払う」としていると、漏水調査を業者に発注する前に原因者と思われる方の了承をとらなくてはなりません。ところが、漏水という性格上、被害者にとっては「一刻も早く」の大問題です。一方、原因者にはまったく被害がなく、「濡れ衣だろう」みたいな話しです。納得するのに時間がかかりますし、納得しないかもしれません。それ以前の問題として「連絡がつかない」なんて話しも頻繁にあります。

 実際に、私の直近の事例でも5階の方から「床から水が沁みだしている」と電話がありました。まだ、マンションのルールを確立してないマンションだったので、私は「これから業者に調査を依頼しますが、調査費の誤請求をさせていただくことになるかもしれませんがよろしいですか?」と確認して、ご了解をいただいて調査を発注しました。ところが、調査をしてみると、「下から水が沁みだしている」のではなく、上階の6階からの水がドア枠をつたって部屋の真ん中の床に水を貯めていたのでした。原因は6階でしたが、6階には調査費のご了解をいただいておりません。

 迅速に調査を開始するためには、原因者が不明な段階、もしくは原因者と思われる方が納得してなくても管理組合として調査に入る、ということが被害者救済のためにも必要と思われます。

②業者が動かない

 漏水調査の業者さんが、「組合が払うことを確認できないと動けません」という会社があります。ことほど左様に漏水調査費に関しては不払いの問題が頻発しています。ですので、漏水調査会社が「これは誰に請求できるのでしょうか?」という一番大切なあたりまえの問題を発注時に確認してきます。「原因者を突き止めてから請求となる。いまは誰が払うかは約束できない。」なんていうことになるのですが、そこで業者さんとやりとりしている間に被害は拡大します。これからも長くおつき合いするそのマンションの給排水を管理してくれている業者さんと気持ちいい関係をマンションとして構築してうえでも「管理組合負担」が適当だと思います。

③調査の公正さの確保

 「原因者が支払う」となった場合は、調査会社も管理組合(管理会社)が発注できるとは限りません。「請求が自分に来るなら、知り合いの業者に安くやってもらう」なんてこともあり得ます。この場合、それを拒否することはできません。知り合いが調査するのでしたら「安い」だけでなく、「この部屋には問題ありません。原因は共用部です」なんて調査結果だって作れちゃうかもしれません。

 「漏水が発生した場合は、調査費に関しては組合負担で即座に調査を開始する」というルールを組合内で確認して、確立しておくことを強くお薦めいたします。

「組合負担=保険申請する」は大損のリスクが

 99%の管理組合は保険に「漏水調査」が入っているはずです。ですので「漏水調査費は保険に申請する」でいいのですが、そこで少し確認しておく必要があります。漏水の調査費は、そんなに高くありません。一人が出動してすぐに原因が分かった、なんて場合は3万円程度です。二人で3回調査した、なんて場合でも20万円程度。

 保険には「事故カウント期間」というものがあって、その期間の保険の申請数によって、次の保険料が大きく変わってきます。ですので「算定期間」でなければ、問題なく保険申請で大丈夫です。でも、算定期間だったら「この10万円の調査費を保険に申請することで、次の保険料がどれだけ高くなるか」を確認してから申請する必要があります。ただ、肝心なことは「保険が出ないから組合は払わない」となると不公平が生じてしまいます。

 順序として、

①「漏水の調査費は管理組合が負担する」というルールを確認したうえで、

②その調査費を保険申請するかしないかは、損得で時の理事会判断、

という手順を確立しておく、ということが必要です。(保険料については、別稿「『保険は使わない方が得をする』って本当ですか?」をご参照ください)。

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