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マンションと戸建て 本質的な違い
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マンションと戸建て 本質的な違い

 もうマンションにお住まいの方にはまったく関係ない記事です。でも、「マンション」というものの本質を改めて認識しておくことは、今後のマンション生活を理解するうえでも有益だと思います。

 また、これから家を購入しようと思っている方ならば、ぜひ参考にしてください。

 マンションに関わる人間が書いてますので、ちょっと自虐的な内容ですが。。。。(笑)

 「マンションと戸建て。買うならどっち」みたいな記事は銀行とかがたくさん書いています。多くの記事は初期費用はどっちが? 生活のしやすさは? 資産価値は? みたいなことを書いています。私はあくまでも本質的な観点だけをランダムに記させていただきます。これを頭の中で整理しておくことがマンション生活を過ごしていくうえで有益だと思うからです。

マンションの構造上の宿命

1.東西を広く造るのが戸建て。南北に長くなるのがマンション

 マンションには、その建物の形としてはいろいろな形のマンションがあります。でも、ほぼすべてのマンションの間取りって、長方形ですよね。40㎡台だったり、70㎡台だったり1戸全体の大きさはそれぞれ違います。でも、90㎡より小さいマンションのパンフレットはまずほぼ相当に「長い長方形」ですよね。これは、マンションというものの構造的課題です。

 戸建ての場合は、どんな形の土地に対してでも、家を建てようとする場合には、法律の許す限りでなんとかして南面を最大限確保しようとします。つまり、その土地に対して、東西が最長となる建物を造ろうとするのが戸建てです。

 これに対してマンションディベロッパー(マンション販売会社)は少しでも利益を得たい。結果としてそのことが安いマンションを提供できるわけですから。なので南面(陽のあたる部分)を少しでもシェアして、販売戸数が増えるようにするわけです。

 つまり、マンションディベロッパーは、買った土地に対し、まずは南面を最大に活用できるように東西に長い建物で建蔽率・容積率を最大になる形状を考えます。その結果、マンション全体としては東西に長い建物となります。しかし、その後、各お部屋を設計するときには、その南面を少しでも多く分けられる形で部屋の形状を考えます。つまり、その建物の南面をみんなで分け合うのです。その結果、各戸ごとの形状としては、南北に長い3LDKとかになるのです。

全室に陽が入る戸建てと陽が入る部屋は半分となるマンション

 その結果、90%のマンションが「半分の部屋は陽が入らない」構造となります。

 つまり、70㎡のマンションと80㎡の戸建て(階段を除く有効面積としては、これくらいで同じ条件だと思います)で、同じく4部屋であったとして、マンションは陽が入る部屋が2部屋。戸建ては4部屋全てに陽が入る、というところが決定的な違いとなります。

北側の部屋は窓・カーテンが閉めっぱなしになる

 また、南側はバルコニーとなりますので、マンションは共用廊下が北側にきます。そうしますと北側の共用廊下が、陽の入らない北側の部屋に面することになります。っということは、自分のプライベート空間とみんなが通る共用廊下とが、壁1枚、ガラス1枚だけで遮られている状態であり、例えば勉強机を置いていたら、座っている30㎝横を他人が通っている状態になります。

 マンションの仕事をし始めたときは「窓を開けている人がいないなぁ」と夏でも気候の良い春秋でも不思議に思っていましたが、考えてみるとあたりまえですよね。たまに開けている人がいますが、だいたい高齢者の世帯が真夏にエアコンを使わずに通気のために北側を開けていて、中が私たちからも見えても気にしないでいる、という感じです。95%以上で、窓もカーテンも閉めっぱなし、というのが共用廊下に面した北側の部屋の実情です。これもマンションの宿命と言えます。

部屋が四角形にならない。。。。

 こんなこと書くと「そんな小さいこと」と言われるかもしれませんが、部屋をどう使うかで結構大きく制約されるのが、部屋の形状です。2階建ての戸建ての木造住宅でしたら、まずすべての部屋がきれいな四角形になります。

 一方マンションは、5階とか10階の鉄筋コンクリート造となります。そうしますとマンションを支える柱が部屋の隅にあるのです。4畳~6畳の部屋とかが北側に造られることが多くあります。その少し小さめの部屋を子どもの勉強部屋にしたりするのですが、その角に机やタンス、さらにはベッドを置こうとするとその机やベッドの角が部屋の角とマッチしないのです。

 部屋の角に30㎝程度の柱の半分が部屋に突き出していることが多い。これもパンフレットを見ているだけでは気にならない、もしくは気づかないポイントです。でも、実際に机をどこに置くか、ベッドをどこに置くか、といったときの障害。結構住み心地としては、気づかないけど大きなポイントとなります。

「マンションに住む」ということの本質

 以上、マンションの構造に着目して「マンションの限界」みたいな記事になってしまいました。あまり書きたい内容ではありません。ただこうした記事は見たことがないので、敢えて書かせていただきました。

 でも、マンションに住むことの本質は、構造上の相違よりも下記の観点ではないでしょうか。

自分の財産を「みんなで考える」「自分で決められない」 

 「戸建てとマンションの相違」とかいう記事には、「マンションは管理に手間がかからず楽」「戸建ては管理を自分でしないといけないので大変」とあります。それはその通りだと思います。でも、

管理に手間がかからない = 自分で決められない

 ということでもあります。

 つまりは、「自分ではなにもしたくない」「自分がやるより管理会社が言うとおりでいい」という方でおカネのある方であれば、本当に楽です。「管理組合をやらなくてはならない」時も、数年に1年。その間は理事会にだけ出席して管理会社の言うとおりにしていればいい。このように割り切れる「人間のできた方」ならマンションが楽です。

 でも、自分で自分の意志を持ってしまい、少しでも「こうした方がいいんじゃない」とか思ってしまう方はちょっとマンションはストレスが溜まるかもしれません。

 実際に、管理組合が輪番で理事長が決まっているような組合であれば、管理会社の担当者しだいで管理費の額も修繕積立金の額も決まってしまいます。マンションを35歳で購入してから30年40年とひょっとしたら不必要な金額を支払い続けるているかもしれません。

 マンションは自分の財産です。ただ、マンション生活というのは、その自分の財産のあり方を自分一人では決められない。みんなの決定に従わないといけない。このことを気にしない人と気にする人、ありますよね。マンションに関わる仕事をしていて、ここが最大の相違であり、マンションに住むことの最大の宿命だと感じています。

「隣人は他人」か「隣人は運命共同体」か

 もう言うまでもないことかもしれませんが、マンションに関わっていて、本当に痛感するのは、「隣人は運次第」ということです。そして、マンションに住んでいる以上、上下左右の4軒。もうちょっと拡げると上下左右斜め上下の8軒は生活していくうえでの運命共同体です。その8軒が発する音(足音、話し声、ペット、楽器等)や臭い(タバコ、香水、お線香、動物臭、悪臭)から避けて通ることはできません。そしてそれは住んでみないと分かりません。その影響度が、壁1枚のマンションと隣とは空間のある戸建てとでは決定的に違います。

 つまり、戸建てであるならば、隣は隣であり、他人でいられて、境界の壁をつくるとき以外は特に接点はもたないでいられます。一方マンションは、上階の振動が直接伝わってきて、自分の足音が下階に響き、隣の音楽や電話の話し声が聞こえてくることになります(マンションフロントには、「金曜日の夜になると女性の喘ぎ声が聞こえてくる。注意して欲しい」というご相談もよくあります)。自分の幸せはどんなでも上下左右の4軒がいい人であることが条件になってしまう、という言わば「運命共同体」となるのがマンションだ、ということを理解しておくべきだと思います。

相互に受忍し、相互に受容すること

 この稿は、「マンションと戸建て、どっちがいいか」を記したものではありません。ただ、マンションに関わる仕事をしていて、マンションにお住まいで諸々のお悩みごとをお持ちの方がお読みいただくこのHPのすべての前提として、「マンションに住む以上の宿命」というか、マンション問題のすべての前提としての「基本構造」「宿命」を確認させていただきました。

 マンションに住むということは、

①自分の財産を自分で決められない

 「自分はここはもっと綺麗にしたい」と思っても、「ここは今のままでいい」と思っても、多数決に従い(実態は、「管理会社の言うこと」)、そのためのおカネを支払う必要がある。

②上下左右の4軒が運命共同体になる

 マンションに住むということは相互に受忍し、相互に受容すること

マンションのいかなる問題を考えるうえでも、この大前提を踏まえていくことが大切だと、この仕事をしているとつくづく思うところです。

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