Q.担当フロントが頼りなく「変えてもらえ」という声があがりました。会社が同じならフロント変えてもらっても管理は変わらないですよねぇ?
A.マンションは担当者しだい。担当フロントが変われば管理も大きく変わります。
「優秀なレベル」は少ない業界
まずもってご認識いただかないといけないのは、マンションの管理会社のフロントマン(皆さんのマンションの担当者)に「そんなに優秀なレベル」の人間は勤めていない、ということです。マンション管理業というのはクレーム産業。土日は主戦場で休みは不定期。とても人気のある業種ではありません。ですから、超大手以外はほとんどが中途採用ばかり。大卒の新卒を雇える業界ではないのです。
そして大卒を採用はじめた会社は、採用できるの大卒者が、管理業務主任者の資格に合格できない新人ばかり。22歳の新卒を採用したけど、大卒でこの業界に来てくれる社員は、肝心の管理業務主任者に合格できるレベルではない方々が圧倒的、というのが現実です。ですから、皆さんのマンションの担当フロントも一人ひとりはとてもいい人。いつもにこやかで柔和な方が多いと思います。でも「頭の切れる」担当フロントマンは、非常に希少である、ということをご理解いただく必要があります。
「なぞの支出」を説明できない入社5年目
私の職場でこんなことがありました。
会社が社員育成で実施している「模擬総会」に私が組合員役で呼ばれて参加してきました。説明役は入社5年目の30歳代後半の社員(A君)。自分の担当しているマンションで1週間前に終わったばかりの総会の議案書をつかって私たち数人の「模擬組合員」に向けて総会議案の説明をして、総会進行を演じてみる、という勉強会です。
私は質問する役。初めて見るその組合の収支報告書を拝見してみると「有線テレビ施設料」として320,400円の支出がありました。私は本気でこれは何なのかが分からなかったので、役割半分、本音半分。頑固おやじの組合員に扮して質問してみました。そうするとA君は「ケーブルテレビのJ社に払っているおカネです。テレビを見るために必要なおカネだと思います」というだけ。管理組合で一括加入してケーブルテレビの有料映像を安く見えている? その場に居るA君の課長も係長も分からない状況。
担当が知らなかったばかりにずっとムダな支出を
ケーブルTV会社とマンション管理組合の契約と言えば、ケーブルTV会社が地上波の電波を一括して全戸に無料で提供する。その代わり全戸に有料の有線テレビの契約やインターネットや固定電話の営業をする。セット料金で安くなるから、組合にとっても組合員にとってもケーブルTV会社にとってもハッピー、というものです。それが今日のケーブルTV会社と管理組合の契約の基本形になっています。ですがA君はまずはそのことを知らなかったのです。
あとで分かったことですが、このマンションは過去にアンテナが故障した際にケーブルTV会社に交渉して地上波の電波を有線で送ってもらったという経緯があるそうです。昔はケーブルTV会社も強気な商売をしていたのですが、その名残で有料だったということ。担当者が「今の基本形はケーブルTV会社は管理組合と契約してタダで地上波電波を提供してくれる」ということを知らなかったばかりに、ずっとずっとムダなおカネを払い続けていたことになります。
私の指摘でその事実を知ったA君は、有線TV会社に直訴。来年度から無料になることで話しが進んでいるそうです。
今は不要な支出もまだ続けている
さらに、収支報告書には「監視通話料」として46,000円のNTTへの支払いもありました。これも指摘しておきました。これはエレベーターを監視するために必要なNTT回線「でした」。でもいまはエレベーター保守メンテナンス会社にて無線通信で行う様式になっています。昔のようにNTTの回線をこちらで用意する必要がないのです(エレベーター保守会社負担)。
にもかかわらず、多くのエレベーター会社は、「通信ができている」というだけで安心してしまって、「当社の無線システムがありますから、組合が用意しているNTT回線を使わなくて良くなりました」とは言ってくれません。これも、エレベーター保守会社に「もう組合のNTT回線を使わなくてもいいでしょ。御社の無線システムに入れてよ」の一言で終わりです。
担当フロントの知識浅かったがために、管理組合はこの「有線テレビ施設料」320,400円、「監視通話料」46,000円の2つの費目を少なくてもここ5年は払わなくて良かったものを払い続けていたことになります。
自分で調べるか、調べないままか
私はマンションフロントとして現場を担当するようになってからまだ2年ちょっと。30歳代後半で中途採用で入社したA君はもうフロントマン経験5年。私が「監視通話料」の話しを知ったのも、私が担当しているマンションに「監視通話料」というナゾの費目があって、組合員の皆さんに説明ができないから調べてみただけです。
担当して1年目とかは組合の収支報告もまだ分からないことが多いのは良く分かります。ただ、5年も担当していてその支出の内容やその必要性について理解していない、自分で調べていない、というのは大問題ではないでしょうか。でも、それが実態で、A君はもう入社5年目で「中堅社員」で新人写真の指導係です。
担当フロントで変わるマンション管理
まぁ、これは些末な事例ではありますが、ことほど左様にマンション管理は、担当のフロントマンでまったく変わります。だから、担当者がいまのままでいいかどうかは、真剣に検討していく必要があります。「いい人ばかり」で「大人しい」管理組合には、「コイツで大丈夫だろう」。うるさい管理組合には「ここはこれくらいのしっかりした人間をあてないと」と実際に担当者決めにはそういう議論をしています。
ただ、「担当フロントを変えてくれ」というのは、管理会社に直訴する話しであり、すぐに変えてくれなかった場合にはその後にその担当者とこじれたりもします。
なんか中途半端な回答になってしまいましたが、要は、
〇「誰でも同じ」っていうことはまったくありません。
〇同じ会社の社員でも、担当フロントしだいでマンション管理は大きく変わります。
〇ただ、こちらがフロントマンを選ぶことはできません。
〇交代の要求は、そのフロントマンが大エラーをしたときくらいしか実現しません。会社は担当を変えたがりません。
っということで、「担当交代」の迫り方は、別に書いてみますね(笑)
まず、この稿では、「担当で大きく変わる」ということだけは確認しておきたいと思います。
